現在、ダナン美術博物館(Bao tang My thuat Da Nang)では、日本人コレクター伊藤豊吉氏が収集したベトナム人芸術家による作品コレクション「豊栄(フォンヴィン:Prosperity)」の展示ブースが設置されています。

 

伊藤氏は、ダナン市にベトナムの美術作品計287点(寄贈:238点、寄託:49点)を寄贈・寄託。

そのうち10年間の約束で寄託されている一部の22点が、2021年の3月29日よりダナン市美術博物館３階にて展示されています。

 

 

│伊藤豊吉氏について

今回寄贈・寄託された伊藤豊吉氏は、1941年に東京の浅草生まれ。

1986年に初めてハノイに訪れた時、伊藤氏は戦後の復興へ向かうベトナムの人々に心を動かされ、ハノイの美術館に訪れた際には、展示されている絵画を見て自分の少年時代を思い出し、深く感動。

これをきっかけに、その後何度もベトナムを訪れるようになり、ベトナム人アーティストの作品のみで約300点にも及ぶ美術作品の収集活動に励みます。これらの美術品は「豊栄(フォンヴィン)コレクション」と名付け、国内外で多数の展覧会を開催。

 

この功績が認められ、2010年にはベトナム観光・スポーツ・文化省大臣より「観光・スポーツ・文化のキャリアへの貢献に関する功労記念賞」が授与。

「共に豊かに反映し、新しい時代を開く」ことに貢献できることを願い名付けられた「豊栄(ホーエイ)コレクション」はベトナムの歴史と豊かな文化を世界の人々に伝えるとともに、新たな世代への文化交流や世界の平和を願ったコレクションであり、2021年にダナン市人民委員会にに寄贈・寄託されました。

※展示パネルを参考

 

 

│ダナン美術博物館に飾られている22点の絵画

現在ダナン美術博物館には、近代(主に1944年から1993年の間に制作)に描かれた写実的な具象画が展示されています。

様々なタッチで描かれた絵は、西洋的な物から和風的なもの、はたまたベトナムらしい力強いものまで様々で、見ていて飽きないコレクションが印象的でした。

このように、本コレクションが加わったことにより、ダナン美術博物館では、今までなかったテイストの絵画を楽しめるようになっています。

 

 

＜作品の一部(写真)＞

 

│よりよい展示のために・・・

ベトナムの博物館や美術展に行くと、特に展示物の説明書きやキャプションに関して注意が向いていない場目に遭遇することが度々あります。

そのようなとき観覧者は「ベトナムだから(仕方がない)」と思って諦めるしかないのですが、本ブースでも課題点が見受けられました。

 

例えば、本展示の絵のキャプションには、水彩画のことを「水色」、油絵のことを「布と油」、不透明水彩のことは「カラーパウダー」と訳していました。

 

今後、美術の分野でもどんどん発展していくことが期待できるベトナム。

是非展示に関して正確性を持って接し、作品をより多くの人に正しく伝えるという博物館や美術館を運営するための学問的知識が広く周知されてほしいと感じます。

 

 

│ダナン美術博物館でベトナム美術作品を楽しんで

最後になりますが、日本人収集家が集めた、魅力溢れる近代のベトナム人作家の作品コレクション「豊栄(：Prosperity)」は10年間の貸し出しが決まっており、変更がなければ2031年まで管理・展示される予定です。

 

ダナン美術博物館には、ほかにも多数のベトナム人作家の絵画や彫刻などが展示されています。

是非ダナンに訪れることがあれば、ダナン美術博物館でベトナムアーティストの作品を堪能してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

ダナン美術博物館（Danang Fine Arts Museum）

営業時間：08：00〜17：00（祝日問わず年中無休）

住所：No.78 Le Duan Street Da Nang

公式ホームページ：https://dnfam.vn/?fbclid=