【ダナンで働く日本人⑤】ベトナムの五つ星ホテルに日本庭園を造った有限会社わかな造園さんのストーリー

 

 

Xin chào!ベトナムから皆さんこんにちは

 

「ダナンで働く日本人」はベトナム・ダナンにいる日本人の方に、インタビューをさせて頂きダナンで働く方の実態を掘り下げることを目的とした企画です。

 

第4回目となる今回は有限会社わかな造園で代表取締役を務める若菜 義大(わかな よしひろ)さんにお話をお伺いしました。


 

 

│わかな造園について

 

有限会社わかな造園は、千葉県千葉市に構える造園工事を行う会社です。

1984年に現在の代表取締役を務める若菜義大さんのお父様が個人事業主として事業をスタート、その後1995年に法人化。若菜さんの代になってからは13期目を迎え、会社としては来期で30期目を迎えます。

 

 

会社がある千葉県の事務所では、「古民家 和かな」という共有のコワーキングスペースも運営。

地元の方はもちろん遠方から訪れた方にご利用して頂ける様な場所になっています。日本らしい古民家と日本庭園をお楽しみいただける空間は、日本人だけでなく海外の方への日本の不動産をお見せするモデルハウスとしての役割にもなっています。


 

2021年には、SPACE OF PEACEという会社をベトナム・ホーチミンに設立。

コロナ後に、ベトナムで初めての仕事となるダナン三日月の日本庭園を手掛け、今後はベトナムや海外での日本庭園業拡大も目指します。


 

 

ベトナム・ダナンの五つ星ホテルにモダンな日本庭園を建設


今年の初め、枯山水という作庭技法でダナン三日月ホテルさんの敷地内に日本庭園をつくらせて頂きました

 

過程としては、テト前につくってほしいということだったので、まず12月に僕が入って、1月5日に職人さんを入れ実際に枯山水の制作に取り掛かり、約18日間で完成させました

現地の庭にある記念の石碑には2023年1月28日とありますが、実際には22日には仕上げることができました。

 

日本からは僕含め5名の日本人が現地へ行きました。

現場では、重い石を運ぶためにショベルカーとクレーン車の操縦が必要だったので、現地のベトナム人2名にも手伝って頂きました。

大きめの石はラオスとの国境の近くで産出した国内産だということですが、材料は現地の建築会社さんにご協力頂きながら全て現地で調達しました。

 

メインエリアの三日月ホテルの外観

 

三日月のビーチクラブに隣接するスペースに日本庭園を作庭



 

ルールさえ守れば「和の植木」が無くても日本庭園になる


約250㎡の広いスペースに贅沢に作った枯山水の日本庭園

 

日本庭園は、大きさと高さとかの話なんですけど、7・5・3という大きさや高さのものを組み合わせていくんです。

上から石や植木を見た時に、不等辺三角形になる様に組んでいる。不等辺三角形をいっぱい組んでいるイメージです。

 

そうするとバランスがいいんですね、不安な気持ちになってはいけない物なので。

例えばこの石倒れそうだなっていうのはダメなんですよ、倒れそうな石があったらその下に添え石をし倒れないように支えるという具合につくっていきます。

 

あと、三日月で造った枯山水という作成技法は、砂利で水を表現しているんですね。

水を砂とか砂利で表現するというのは、世界を探しても、日本にしかないんです。これはやっぱり特殊ですよね。
 

また、よく日本庭園で見かける植木などのことを仕立物というんですけど、日本庭園だから松などの仕立物を入れなければいけないというのはないですし、入れるとグッと日本庭園という風に見えますけど、それがすべてではないと思っています。

 

三日月の日本庭園には南国らしい現地の植物を採用
 

 

 

日本ではできない仕事がベトナムにはある・・・!日本庭園を造るためにベトナムへ


日本では、日本庭園のニーズが少ないです。これがベトナムに来たきっかけです。

日本ではやりたい仕事ができない、こっちに来たら日本庭園や大きな仕事が出来るチャンスがあります。

 

日本では外構エクステリアと呼ばれる例えば人工芝とかフェンスやウッドデッキを付ける、いわゆる最近の日本のお庭を手掛けている会社を営んでいますが、「本当に一番やりたい事は?」と問われると、日本庭園を造りたくてこの世界に入っているので、やっぱり、日本庭園なんですよね。

 

 

海外進出は元々コロナ以前から考えていたのですが、コロナがきっかけとなり海外にニーズがあるのかどうかZoomなどを活用して情報収集しました。

 

東南アジアはもちろんですけど、ヨーロッパの方とかアメリカの方などに、計約20カ国ほどの在住日本人の方に「僕日本庭園やりたいと思っているんですけど、そういうニーズってありますかね?」と聞いて周りました。

皆さんの答えは「若菜さんそれね、造園だけじゃなくて、日本の文化ってニーズがあるよ」って、ないって言った人はいなかったんです。

 

それで具体的に国を決めないといけない時、何個か条件をつくりました。

1.若い人がいて人口も増えている、GDPが上がっているなど成長している国。(比較的日本から近い)

2.親日の国(歴史的背景も含めた)

3.仏教(食べるもの宗教概念など今生活環境と大きいな規制がないなど)

これに合致したのがベトナムだったんですね。


 

ちょうどその頃、ホーチミンでベトナム人の方に日本を紹介するメディアを運営しているJAPO Vietnam代表の阿部さんがコロナでベトナムに帰れなくなっていた際に日本でたまたま出会い、会社設立に至りました。

でも実際、その時(会社設立した時)は、ダナンで日本庭園を造ることになるとは夢にも思っていませんでした。

チャンスを下さった三日月ホテルの芳宗社長に感謝してます。

 

 

 

人との繋がりが生んだ、ベトナムでの初仕事


日本庭園内に設置された記念碑

 

日月さんの理念である「日本文化の真髄を広めること」に共感し、以前より三日月グループの社長である小髙芳宗さんにお会いしたいと思っていました。

知り合いにご紹介して頂く形で、一度小髙社長との会食の席を設けさせて頂き、初めてのその席でダナン三日月の庭園を手掛ける話が決まりました。


 

実際に手掛けた庭園は、芳宗社長に「好きなようにやって良いよ」と言っていただき、こちらで庭園建設予定地に隣接する”NAMIビーチクラブ”に寄せたイメージで制作しました。

当初は、三日月の設計を担当している日系の設計事務所さんの庭園の設計案がありましたが、実際には4つの橋を掛ける案だけを残し大きくデザインを変更して作成しました。

 

 

 

ご縁が繋いで新たなプロジェクトの話も・・・・


実は、ダナンでの実績がきっかけで、若菜さんの所でやれないかなというお話も頂いているんです。

 

既に進行中のベトナムでのプロジェクトのお話で、設計は綺麗なんですけど、庭を造っている人たちは、日本庭園の知識のないベトナム人がなんとなく見よう見まねで造っているので、何度もやり直しをしても、オーナーが納得できるものが出来ていないようなんです。

 

予算の問題とか色々あるのですが、実際にベトナム人のオーナーが千葉の古民家和かなまで来てくれて話しをするなどしており、新たな繋がりも生まれています。



 

現地語が話せなくても問題なし!語学力は翻訳ツールでカバー


ベトナムは、ベトナム語が公用語ですが、Google翻訳や、イヤホン型の翻訳機をつかったり、または身振り手振りで何とかなりました

 

日系でのお仕事だった事もあり、日本語を話せるスタッフや日本人がいらっしゃったので、通訳の方もほぼ付けることはありませんでした。

 


 

今後はベトナムの人材を育て、ベトナムの仕事も一緒にしていきたい


2024年の2月から会社にベトナム人技能実習生が3名入ってくるんですね。

 

僕は、今年41歳になるんですけど、45歳になったらベトナムに住んでいきたいと思ってるんです。

面接の際にもベトナム人の子たちに伝えたのですが、その時にベトナム人の任せられる子をベトナムの会社に連れて行きたいと考えているんですよね。

 

彼らの意思も尊重しないといけないんですけど、結局技能実習で、ある程度儲けたいよという気持ちで日本に入ってくる所もあるので、それがベトナムでもちゃんと日本と同じだけの給料がもらえるよという形であれば、全然いいのではないかなと。

むしろベトナムにいたいはずなんですよね。


 

なので彼らを育てて、ゆくゆくはベトナムで彼らに日本庭園を造っていってもらえたらと思っています。

彼ら自身に社長になってもらって、彼らが運営する会社が理想です。
 

一応技能実習のくくりは3年、最長で5年。その後も技能実習生から特定技能に切り替えることができるのですが、まずは3年から5年で育てることを考えています。


 

 

ベトナムやダナンで仕事をしたい方に一言


三日月ホテル前のダナン湾の景色

 

確実に人口が減っていっている、日本。海外向け、海外の方を招待する、観光業じゃないけど、そういったことをやらないと会社は今後勝ち残れないです。特に地方は良い所がたくさんあるのに、僕も含めてPRが苦手だななと思っています。

 

コロナがきっかけでITリテラシーがすごく上がりましたよね。

僕自身も今このようにオンラインで初対面の方からインタビューを受けているなんて発想もありませんでした。

本当に、コロナは一ついいきっかけになりましたよね。

ただ、Zoomミーティングなどやセミナーだけで満足せずに、実際に現地へ行ってみるというのは大事だと思います


 

実は、伝統文化の展示販売会のようなイベントをダナン三日月さんで来年の4月に行おうと現在動いています。

ダナンは出やすいじゃないですか、日本から直行便で来れますし、空港とダナン市内も近い

特に三日月さんは、日本人スタッフ常駐で日本食もあるし、今まで海外に行ったことない人にとってはもってこいの施設。

 

実際に海外に行かないと分からないことだらけ。

もしベトナムに興味があるのであれば、現地で行われるイベントに実際に参加するなど、現地に来て感触を確かめてみたらいいんじゃないかなと思います。

もし良かったらご連絡いただければ展示会案内などお話できますので、お気軽にお声掛けください。
 

 

 

│編集後記

今回は、ご縁があり、大注目のダナンにある日系五つ星リゾートホテルの日本庭園を造った若菜造園さんにインタビューさせて頂くことが出来ました。

ニッチな分野ではあるものの、どの分野でお仕事されている方にも勉強になるベトナム進出ストーリーの一つであると感じます。

 

実は、記事内では割愛していますが、「ベトナムに決めた理由、、、直観的にスパッと決めたんですよ。」とも仰っていたことが印象に残っています。

リサーチや人との出会いももちろんですが、直感や感覚的なものも、海外進出の決断に置ける大切な要素です。

 

今回のように、残念ながら現代の日本ではニーズが少なくなってきている日本文化や伝統も、海外にはニーズがある、ニーズをつくることができるという事は、今まさに日本でも多くの方が興味を持っている分野だと思います。

更に日本庭園だけでなく日本文化を海外でのトレンド的な物で終わらせるのではなく、継続的な日本の文化や魅力の海外への発信と海外のニーズや文化に合わせて柔軟性を持ちながら輸出していくことの大切さを再認識しました。

 

「日本庭園を求めるところがあるならどこへでも!」という若菜さんの想いと共に、わかな造園の海外での日本庭園造りはまだまだこれから続きます。

 

※本インタビューはオンラインで行いました


 

 

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