ダナン・ホアンサ諸島博物館館を徹底解説

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今回ご紹介するのは、ホアンサ諸島博物館(Nhà Trưng bày Hoàng Sa)。


外国人の旅行者向けの観光名所ではないのですが、こんな場所もあるんだよ!ということで、「ドンディン博物館」に引き続きマイナーな博物館をご紹介していきたいと思います。



※本記事では、分かりやすさを優先しベトナム語のホアンサ諸島と記載しています。ホアンサ諸島(:西沙諸島、パラセル諸島)についての領有権問題について言及するつもりはありません。「Nhà Trưng bày Hoàng Sa」の概要をご紹介するものとしてご覧いただければ幸いです。




│市内から車で20分・海沿いの市営博物館


ホアンサ諸島博物館(Nhà Trưng bày Hoàng Sa)は4階建ての建物、海沿いの Hoàng Sa通りとPhan ba Phien通りの角に位置しています。


日系の株式会社ライト設計が設計コンサルティングを担当し、2015年12月より2年以上の歳月を経て、2018年3月に開設。

目の前には海が広がっており、市内からソンチャ半島へ向かう通り道でもあります。


営業時間は年中無休で8:00~17:00まで。

ただしお昼前後はお昼休憩でスタッフが外出しており開いていないこともあるので、その際はスタッフの方を待つ必要があります。

写真引用:DA NANG Today「Close-up view of Hoang Sa Exhibition House


外観は印象的で、建物の正面の面が見る方向によってベトナム国旗に見えます。

館内には螺旋階段とエレベーターでの移動が可能で、お手洗いは清潔です。

入口は1階にもあるように見えますが、階段を上って2階が入口ですのでご注意ください。




そもそもホアンサとは?


博物館の名前にもなっているホアンサとは、ベトナム中部より東約240キロメートルの場所に浮かぶ島々の名称です。

ベトナム語では、ホアンサ諸島(Quần đảo Hoàng Sa)、中国語では西沙群岛、英語ではParacel Islandsと名付けられており、約15の島々で構成されています。


中でも最大の大きさを誇るフーラム島(英語: Woody Island/中国語:永興島/越語:Đảo Phú Lâm)では現在1500人が生活しています。


ホアンサ諸島は、ベトナムと中国で領土権を主張している複雑な状況下にある島で、現在は中国が実効支配をしています。

ベトナム政府としては、ホアンサ諸島はグエン王朝時代(~1945年)からベトナム中部の支配下にあり、“西沙諸島の戦い”が行われた1974年後は中国に実行支配されているものの、現在も1997年1月23日よりダナンの管轄下であると主張しています。


日本でいう、尖閣諸島、竹島、北方領土、などと同じような問題を抱えている島というと分かりやすいでしょう。

ベトナムでは「ホアンサ諸島」の他に、ホアンサ諸島よりも南下したところにある「チュオンサ諸島」も中国含む複数の他国と領有権を争っており、「ホアンサ・チュオンサ諸島」は2つで問題定義に上がることが多いです。




目の前は海の4階建ての博物館


展示はベトナム語と英語の2か国語でされており、主にベトナムの主権を証明する文書が展示されています。

2021年現在は入場無料で観覧することができます。

4フロアから構築されているものの、地図には4階の間取り図はありません。(不思議ですね)

また、4階は写真撮影も禁止と案内されました。館内の写真撮影には許可が必要と入口の注意事項に記載されていますので、ご確認ください。




▶1階 記念碑


会議室などがメインで、記念碑と漁村ボートの展示があります。

碑石にはフランス語で以下のような文字が記載されており、それ以外に説明はされていません。


「République française Empire d'Annam

archipel des paracels 1816 île de pattle 1938 」


(訳:フランス共和国 アンナム帝国 

ホアンサ諸島1816年、Pattle島* 1938年)

*ホアンサ諸島に含まれる一つの島




階(入口)・地理と自然条件について


地理と自然条件についてやサメの歯や海洋生物の模型が飾られています。

入口から見たフロア

生息する海洋生物(ZEBRA SHARK)



3階・過去の文献による主権の証拠展示


ベトナムの主権を示す地図、文書、条例などが文書の本体、コピー、写真などを元に展示されているメインフロアです。

1802年~1945年の書誌や石板、1945年~1974年、1974年~近年までのホアンサに対するベトナムの主権の証拠がずらりと並んでいます。




4階・近年のホアンサ諸島について


ホアンサから持ってきたとされる船の説明や貝の現物、ベトナム海軍や地元民が写った写真、歴史の証人の写真が主に展示されています。

昔の中国の地図には、ホアンサ諸島の記載がないことなども指摘するものなどあり、目で見て分かる展示物が多くあります。

写真引用:DA NANG Today「Close-up view of Hoang Sa Exhibition House


博物館の外に飾ってある「漁船90152TS号」の説明や実際の写真は、外の展示と合わせてご覧いただくことをオススメいたします。




漁船90152TS号


大通りからも存在感がある青と赤の漁船「90152TS号」。

木材で出来た高さ約4メートルほどのベトナムにある典型的な漁船の一つです。

正面から見た漁船


裏側から見た漁船


外の漁船は2014年にパラセル諸島近くで中国と争っているうちに沈没、その後リーソン島を経てダナンに運んできたのだとか。

後ろに回り込むと階段がありますが安全面の観点からも実際に漁船内を見ることはできません。



船を飾っている理由としては、以下のように述べられています。

“同博物館の広報担当者は、「90152TS号は、中国の常軌を逸した行動を裏付ける証拠だ」とし、さらにパラセル諸島の領有権を守るというベトナム人の「決意」の象徴でもある、と付け加えた。”*

*CNN.co.jp「パラセル諸島、中越関係の火薬庫か 双方とも「解決」は望まぬ?



│「ホアンサ諸島」と「チュオンサ諸島」に関する最近のニュース


「ホアンサ諸島」と「チュオンサ諸島」について、2021年4月現在、主権を主張している両国は緊迫した状況ではないのが幸いですが、配慮が足りないために思わぬところで批判に繋がることもあるかもしれません。


たとえば、今月2021年4月、H&M不買運動がベトナムでニュースになりました。

理由は、中国が領有権や領海などの権利を主張するための「九段線 (Đường chín đoạn)」がH&Mのウェブサイトの地図上に記載されていたためです。

「九段線 (Đường chín đoạn)の中には南シナ海のほとんどの島が含まれており、その中には今回ご紹介した「ホアンサ諸島」と「チュオンサ諸島」も中国のものと記載されているため、二つの諸島をベトナムの領土と主張しているベトナムは、国際ブランドの会社が南シナ海の島々を中国の領域と認めていると、SNSを中心として批判と抗議の声が広まりました。


さらにH&Mだけではなく、シャネル、ルイヴィトン、グッチ、ユニクロYSLなどの世界的ブランドも中国版Webサイトでも「九段線 (Đường chín đoạn)が記入された地図を使用しており、「ホアンサ諸島」と「チュオンサ諸島」の領土権問題に再度関心を集めました。




さいごに


今回はダナンにある「ホアンサ諸島の博物館」についてご紹介いたしました。

さて外国人の私たちにとって、他国の領土権問題はあまり身近な問題としては考えづらい所があると思います。


ただ、ベトナムに住む方は知識として知っておくと良いでしょう。

上記でご紹介したニュースのように地図での線引きはもちろん、ポスターやイラストで描くベトナムの地図でも、「ホアンサ諸島」と「チュオンサ諸島」の有無には注意を払うことに越したことはありません。


「ホアンサ諸島」について知りたい方は、ダナンのホアンサ諸島博物館にて常時展示を見ることができます。

関心がある方は足を運んでみてくださいね♪





ホアンサ諸島博物館(Nhà Trưng bày Hoàng Sa)



住所:Hoàng Sa, Thọ Quang, Sơn Trà, Đà Nẵng

入場料:無料

※写真撮影は確認する必要あり。

営業時間:8時00分~11時30分/13時30分~17時00分

所用時間:30分程度

Facebook:https://www.facebook.com/sovereigntysealofvn

HP:https://nhatrungbayhoangsa.danang.gov.vn/?fbclid=I...




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特に中部のダナンは、人口約96万人のベトナム第三の都市とも呼ばれる港湾都市。
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リゾート地としても知られるダナンは、主要国首脳会議が開かれるほど治安も良く、IT系や工場系を主とする国際的な企業からもビジネスの拠点として選ばれています。

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