ベトナムの国花(こっか)である「蓮の花」。

蕾の状態でも、開花している状態でもどちらも美しいビジュアルを持つ「蓮」は昔からアジアを中心に非常に愛されている花のひとつです。

今回は、ベトナムの国花「蓮の花」について特徴から蓮が綺麗に見えるスポットまで、蓮についての豆知識をいくつかご紹介いたします。

蓮が国花になって10年

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写真：6月下旬筆者撮影

ベトナムで、「蓮」はHoa Sen（ホア セン）と言い、日本の桜のようにベトナム国民から愛されています。

実は、ベトナムでは日本と同じように法律で定められた国花はありません。

ただし多くの国がその国や国民性を表すものとして「国花」を持っていることから、ベトナムも国民に行った投票により2011年に国花として「蓮」が選ばれました。¹

ベトナム国営の水色の機体のベトナムエアラインのマークにも2002年より承認されており、旅行者や外国人からもベトナムをイメージしやすい花の一つではないでしょうか。

¹ https://bvhttdl.gov.vn/cong-bo-ket-qua-bau-chon-qu...

【蓮の特徴】

写真：8月中旬フエ王宮内にて

一般的に普及している蓮は６～７月が見ごろと、開花の時期が限られています。

花びらの色は様々でピンク、白、紫、青、などの種類がありますが、その多くはピンクであることが多いです。

蓮は一般的に泥の沼地に生息し、水連とは異なり茎が長くまっすぐ水面より伸びて花を付けます。

蓮の花の寿命は短く、早朝にゆっくりと華が開き、昼間は閉じるのを繰り返し数日で散ってしまいます。

枯れたのちは花托(かたく)に穴が空き、数週間するといくつもの実がなります。

【蓮の花ことば】

写真：フエのAlba Wellness Resort By Fusion6月下旬

蓮の花言葉は「清らかな心」。

蓮の花の生態的特徴からも特に言われるのが、泥に染まることなく美しい花を咲かせるということ。

環境に左右されず美しく咲く花は逆境を乗り越える忍耐や精神を表しているとも言われます。

【蓮と仏教】

写真：ダナンのリンウン寺

ベトナム人の宗教に関する調査は十分ではなく信仰のパーセンテージは曖昧ですが、全国で約8000近くの仏教に由来する伝統的なお祭りが開催されていると言われるほど²、仏教はベトナムの中で最もポピュラーな宗教です。

仏像の台座には、蓮の花をモチーフにした「蓮華座（れんげざ）」もしくは「蓮の花」を手に持っているケースはお寺でも良く見られる光景です。

仏教において蓮は死後の極楽浄土に咲く花として尊ばれており、ベトナム人の多くが信仰する神聖な花として根付いていることが分かります。

²「Vietnamese culture features Buddhist legacy」

【蓮とベトナム料理】

ベトナムでは、蓮を余すところなく頂きます。

蓮のおしべはお茶に、蓮の実はおやつや料理の材料に、茎（レンコン）はサラダに、蓮の葉はご飯を包み香り付けするためにと食事面でもすべての部分を食す文化があります。

もちろん食用のものと観賞用は分かれているのでご安心ください。

【蓮とベトナムの詩】

蓮が題材になっている詩がベトナムにいくつかあります。

中でもベトナム人が学校などで勉強するという２つの著名な詩があり、蓮が美しく、ベトナム人にとって大切な存在であるということを表しています。

１.

Trong đầm gì đẹp bằng sen
Lá xanh bông trắng lại chen nhuỵ vàng
Nhuỵ vàng bông trắng là xanh
Gần bùn mà chẳng hôi tanh mùi bùn

[日本語訳]

沼の中に蓮より綺麗なものがあるのだろうか
緑の葉、白い花びら、黄色いめしべ
黄色いおしべ、白い花びら、緑の葉

泥の近くにあっても泥臭さがつかない

２．

“Tháp Mười đẹp nhất bông sen,Việt Nam đẹp nhất có tên Bác Hồ”

[日本語訳]

Tháp Mườiの誇りは蓮の花、ベトナムの誇りはホーチミンさん

*Tháp Mườiはホーチミン市近くのドンタップ省の蓮が有名な県

【ベトナムの蓮の名所】

写真：ニンビン11月下旬で蓮は枯れています

ベトナムで蓮を見るのであれば、季節と場所は事前に確認しておきましょう。

少数の蓮や蓮畑であればちらほら見ることはできるものの、大きな蓮畑は花見をしに行くように足を運ばなければ見ることはできません。

ベトナムの蓮の名所と言えばドンタップのĐầm Sen Tháp MườiとハノイのHồ Tâyの二つ。

その他にもニンビンのハンムアや、ムイネーのBàu Senも有名です。

ダナン近郊であればホイアンに行くまでの畑に少しと、ホイアン郊外、そしてフエのHồ Tịnh Tâmや王宮内でも見ることができますよ♪

さいごに

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今回はベトナムの国花、「蓮（Hoa Sen）」についてご紹介しました。

ベトナムと同じようにインドとスリランカも同じように蓮を国花としています。

ベトナムの場合は、国花になってから日は浅いものの、食文化や文学、宗教などの様々な観点からも国民に愛され、浸透している花であるとし、ベトナムの象徴として親しまれているのではないでしょうか。